キャパシターと手回し発電機

電気二重層キャパシターとは

「電池は化学反応を利用して蓄電するが,テレビやラジオに昔から使われているコンデンサは電気を電子のまま蓄える。それの物凄く容量の大きいのがでてきた。その名は「電気二重層キャパシタ」,キャパシタとはコンデンサの別名である。」

これは、ECS(Energy Capacitor System)と呼ぶキャパシタを用いた蓄電方式に関する 「新しい技術」を確立された岡村廸夫さんが主催されている岡村研究所のホームページ http://www.okamura-lab.com/ で「電気二重層キャパシタとは」の項の冒頭に書かれている言葉です。(ここでは、電気二重層について詳しく説明されています)

「物凄く容量の大きい」とはどれくらいか?

テクノキットのダイナモ&キャパシターラジオHR-020CPの電気回路に使われている電解コンデンサーの一番容量の大きなのは220μFで、蓄電用としては10Fの電気二重層キャパシターを使っている。220μFの電解コンデンサーを10F分積み上げるとどうなるか?それがこの写真(45000個)である。
10ファラド (勿論、電解コンデンサと電気二重層キャパシターとは構造も用途も異なるので、単純にその容量だけを比べるのは、それほど意味のあるものではないかの知れないが、10Fという容量を実感できるのでは)今日では、Kファラド単位のものも造られているようである。

キャパシターにどれくらいの電気が貯められるのか?

耐電圧2.3v 10Fのゴールドキャパシターを満充電すると
Q=V・C で、2.3×10=23クーロン
つまり、1アンペアの電流を23秒間流し続けることができる電気量ということになる。

これで何分ラジオが聞けるか?

「ダイナモ&キャパシターラジオHR-020CP」では、通常の環境で一人が聞く音量にした時、5〜15mA程の電流が流れている、 平均10mAとすると、このキャパシターに溜められた電気で
23/0.01=2300秒
38分間聞ける計算になる、
ところが、このラジオでは、電圧がおよそ1.65v以下になると音声として聞き取れなくなるので、キャパシターの端子電圧が1.65v以下になるとラジオの電源としては使えない
この部分を差し引くと、使える電気量は
(2.3-1.65)×10=6.5クーロン
6.5/0.01=650秒
11分ほどしか聞けないことになる
では、 キャパシターの端子電圧が3vになるまで充電すればどうなるか?
3v×10F=30クーロン
1.65v×10F=16.5クーロン
(30-16.5)/0.01=1350秒
22.5分ということになる

耐電圧2.3vのキャパシターを3v迄充電することによるキャパシターに与える影響は?

「キャパシターで言う耐電圧(最大使用電圧)とは 長時間加え続けても特性の劣化の起こらない最大の電圧。通常これを定格電圧、耐電圧などと呼ぶ」(岡村廸夫著「電気二重層と蓄電システム)
要するに耐電圧以上の電圧を長時間加え続けると10年とか20年とか或いはそれ以上といわれる寿命に影響を及ぼす可能性があるということで、「3V程度の電圧で、それも、短時間に充電し、短時間に放電するという使い方では、それほど影響は無いだろう」(松下電気コンデンサBU)ということである。

実際にラジオはどれくらい聞けるか?

グラフは、キャパシターの端子電圧がいずれも、1.4vの状態から充電を始め 2.3v、3v、3.6vになるまで手回し発電機で充電し最大で15mA程度流れるようにボリュームを調整し、ラジオが聞けなくなるまでのキャパシターの端子電圧を測定したものである。
グラフ
端子電圧が、2v以下になると、同調指示のLEDが点灯しなくなり、其の分消費電流が少なく、電圧降下速度は少し緩やかになる。
(充電しない状態で、置いておくと端子電圧は、1v以下にまで下がる、ここから充電をはじめると、3vに上げるのには、150回程度回す必要がある)

どうして、キャパシターを蓄電装置としてつかうのか?

10Fを実感してもらうために例にあげた220μFのコンデンサー等は、充放電回数の表記はない、それは当然で回路によっては1秒間に何万回も充放電を繰り返している。電気二重層キャパシターもその定格内で使う限り制限は無いようである。これを蓄電装置として利用すれば、半永久的に使えることになる。(原理は、100年前から解っていても利用されなかったのは、そのエネルギー密度(重量あたりの保存エネルギー量)に問題があったようだ。これを解決したのが冒頭で紹介した岡村さんのECS技術)
ニッカド電池などの二次電池は充放電に限度があり、また、長く充放電をしないで放置しておくと、充電しなくなる、ショート等、極端な放電をすると寿命が短くなる、廃棄するときに内容物の重金属が問題になる。
これらの問題は、電気二重層キャパシターには無い。
青色発光ダイオードの発明により、照明の世界がLEDに置き換えられつつある今日、近い将来二次電池の世界も電気二重層キャパシターに変わって行くのではないか?
30分毎に発電機を回さなければラジオを聞けないというのは勿論便利ではない、ボタンを押せばなんでもできる便利すぎる日本ではあるが、それは、電気が止まれば一瞬にして原始生活へ逆戻りというのが見えていない現実で、ガラス細工の便利さではないか?
力をだして発電機を回し、電気を溜め、其の電気でラジオを聞く、それが目に見える形で体験でき、非常のときは確実に役に立ち、環境にもやさしいこの電気二重層キャパシターを使った一歩進んだラジオを組み立て作り上げることは、今日の技術科教育におけるエネルギー変換教材としてこれ以上のものはないと思う。

2003年2月23日 テクノキット T.K